3方を囲まれた高低差のある土地で、明るさ・解放感・プライベート性をもたらす住まい

新潟市江南区 I邸 荻曽根の家

▶家づくりの経緯

30代のI様ご夫婦。
結婚後アパートに住んでいましたが、程なく新築の計画をスタート。
資金計画、土地探しを進めてからの住宅会社選定でした。

▶住まいに求めるもの

✅楽しく生活したい!
✅BBQができる等、外と繋がるスペース
✅吹き抜けのある解放感のある空間
✅間接照明や、観葉植物の調和する大人の雰囲気
✅家の各所でPCができる、座れるスペースや仕掛け
✅冬寒くない快適な住まい
✅光の入りにくい土地だが、暗くしたくない

決まっていた土地は、西面が道路におり他の3面にはすでに住宅がありました。
そして、道路よりも奥が高い高低差のある土地

このタイプの土地で
「1階にリビングを設けながらも、光が入る明るい空間にしたい。それから、大きい吹き抜けを設けたい」というオーナー様のご希望は、実は難度の高いものでした。

この土地の特性を活かしつつ、
明るさと大人の雰囲気
解放感とプライバシーの確保
これらのバランスを保つことが、最大のポイントでした。

外観
外観 隣家をのアプローチをみると、敷地の高低差がわかりやすい。

▶加藤淳一級建築士事務所を選んでくださった理由

紹介を受けてお問合せを下さったI様。
Ag-工務店さんとのコラボワークスに興味を持ってくださいました。

設計者と直接打合せ出来ることに加え、施工者であるAg-工務店さんも積極的に参加する打合せをおこないます。
その為、営業さんとお施主様の打合せを設計や現場に伝えるスタイルよりも、濃い打合せとアイデア交換が可能であること。
見学会で設計の工夫や、それを実現する施工力にご納得いただけたことでご依頼いただきました。

入居後インタビュー
「段差に腰かけてみたり、段の上で寝転がって子どもたちを眺めたり。いろんな使い方ができるのがいいですね」(ご主人)

結果として、ご希望の「大きい吹き抜け」は土地と必要な生活空間の確保等の諸条件から叶いませんでした。

それでもご満足いただいたのは、お二人の本当のご希望が「吹き抜け」という形ではなく
「光が入る明るい空間」
「リビングの解放感」
という特徴だったから。
それをダウンフロアリビングと高窓の設計が、吹き抜けの代わりに叶えました。

ダイニングより一段下がったリビング。ちょうど大人が座りよい高さです。

リビングはダイニングより一段下がり、なおかつ天井を他より高くする。
そこに解放感が生まれ、TVボード側の高窓がおだやかにフロアを照らすように設計しました。

敷地に高低差がある場合はアプローチの階段で調整するのが一般的。
家の中に高低差を持ち込まない、という考えです。
今回はあえて高低差を逆手にとり、家の中をスキップフロアにすることで広がりを持たせました。

コンセプト1
コンセプト1 設計時のイメージスケッチ

「リビングは普段はマットを敷いて子どもたちを昼寝させたりしています。
僕は段差に腰かけてみたり、段の上で寝転がって子どもたちを眺めたり。いろんな使い方ができるのがいいですね。
ダイニングに向かって段々上がっていくのも面白いですし」
とご主人。

そしてリビングとつながったダイニングから、約4帖のウッドデッキに繋がります。
希望されていた「BBQのできるような、外と繋がる空間」です。

一角に植えられたナナカマドが、坪庭感覚をもたらします。

よく「作ったけれど使わない場所」と嘆かれがちなウッドデッキ。
I様ご夫婦は、室内の延長感覚で毎日つかってくださっているそうです。

「朝起きたら、コーヒーを持ってデッキに出てグロー(電子タバコ)を吸い、夕方仕事から帰ってきたら、ここでビールを飲みながら過ごしています。
孤立した感じのないデッキですし、毎日使っていますね。アウトドアが好きなので、秋になったら七輪でサンマを焼きながら晩酌したいです(笑)」と日々の生活で、リラックスする場所をして活用してくださっている様子を教えてくださいました。

3方が家に囲まれているものの、南東に目線の抜ける位置を発見。
そこに屋根付きのデッキを設えることで、木塀の奥に隣家の庭を借景としつつも気兼ねなく使える空間となりました。

「夕方の涼しい時間帯に子どもたちをバウンサーに載せて夕涼みをさせたりもしています。もう少し大きくなったら、プール遊びもさせてあげたいですね」と奥様。

ダイニングと繋がりを感じるのも、自然と足がむく理由の一つ

デッキと繋がるダイニングの家具。
このソファーが絶妙な高さで、ダイニングとして使えるのはもちろん、リビングソファのようにくつろいでテレビを見たり、デイベッドのように昼寝に使えるもの。

「このスペースをただご飯を食べるだけの場所にするのはもったいないと思ったんです。いくつかの用途を持たせたくて、この家具を選びました」とご主人。

この家具のウォールナットは重厚な高級材。
家具を入れることを決めていたので、合わせて床材を同じ素材でそろえました。
重厚な色目が空間の落ち着きを演出してくれています。

ほんの少しの空間操作による広がり感が特徴です。
子育て世帯の暮らしを、約42坪の敷地を立体的に無駄なく設計しています。

▶I様邸の設計ポイント

□リビングの天井を上げた分は…
天井が近くなり、こもり感がアップ

1Fのリビングの天井を高くした結果生まれたのが、寝室の小上がりスペース。
セカンドリビングにしたり、書斎につかったり、お子さんと遊んだり…。
多用途な居心地のいいスペースになっています。

小上がりの小窓はリビングに繋がる。お子様が小さいので、安全のため普段は固定。
▶広々とした快適なサニタリー

洗面所と別で3帖と広めにとったサニタリー。
たっぷり洗濯物が干せるスペースも確保し、機能的に家事をこなせます。

ここにも高窓が。プライバシーを確保し光を取り入れる。

「広いので子どもたち2人をお風呂に入れる時も便利ですね」と奥様。
実はI様ご夫婦のお子さんは双子。
一緒にお世話をする場面が多く、お風呂上りのスペース確保は大切なポイントでした。

▶すっきりと広いシューズクローク
靴を脱ぐ前も後も、クロークにアクセスできる

双子用の大きなベビーカーも格納できるシューズクローゼット。
2枚の引き戸を閉めると、すっきりと目隠しができます。

▶手元は隠しつつ、周囲を見守れるキッチン

「アパートの時はキッチンにいると孤立するような間取りだったので、対面キッチンに憧れていました。ただ、キッチンの手元は隠したかったので逆からは見えないようにしています」と奥様。

ダイニングの奥まった場所にあるキッチンですが、実は空間全体が見渡せる特等席。
子ども達の遊ぶ様子を見守りながら、ダイニングやデッキの家族と会話しながら、キッチンに立つことが出来ます。

キッチンにはヴィンテージ加工のされたグレーの羽目板。シャビーシックな雰囲気をプラス。

冬寒くない、快適な家にしたいというご希望も北海道水準のHeat20 G1グレードでばっちりです。
補助金のタイミングもよく、長期優良住宅の認定も取りました。

要望の「形」ではなく、「願い」や「目的」を大切にする。
家を平面図ではなく、立体的に考える。

加藤淳一級建築士事務所の大切にする家づくりの概念にピタリと合った、楽しい家づくりを一緒にさせていただきました。

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■DATA
竣工年月 2019年3月
構造 在来工法、一部金物工法
所在地 新潟市江南区      
家族構成 ご夫婦+双子   
敷地面積 140.12㎡ 42.30坪
延床面積 98.51㎡(29.74坪)
1F   59.11㎡ (17.85坪) 2F 54.24㎡ (16.37坪)
施工会社 株式会社Ag-工務店
耐震等級 3
断熱性能 Heat20 G1グレード 長期優良住宅