部屋で区切らず、おおらかに空間を共有する住まい

新潟市西区 E様邸  新築事例:五十嵐の家 04

▶家づくりのきっかけ
家づくりを考え始めたのは、上の子が生まれた6年前でした

出産をきっかけに、早く家を持ちたいと考えるようになった奥様。
「家づくりを考え始めたのは、上の子が生まれた6年前でした。
アパートに住んでいたんですが、私は早く自分たちの家が持ちたかったんです。」

しかし当時ご主人はローンを組むことや住まいの固定化にリスクを感じ、乗り気ではなかったとのことでした。

「でもその後2人目の子どもが生まれると、アパートが手狭に感じるようになって。
それで、当時仕事でつながりがあったファイナンシャルプランナーの方に資金計画の相談をしてみることにしました。住宅会社の方からではなく、客観的な立場から資金面を見てほしかったからです」とご主人。

漠然と不安を抱えていたローンや家づくりに対して納得したことで、E様の家づくりがスタートしました。

▶住まいに求めるもの

✅公共交通機関の利便が良く、水害リスクの少ない土地
✅広い家よりも生活しやすい家
✅部屋別で考えず、スペースで考える。できるだけオープンな空間。
✅家族みんなが使えるスタディコーナーが欲しい
✅子ども部屋は、ベッドが置ければOK(他に収納・勉強スペースを確保)
✅住んでいるアパートは冬寒く、結露に困っている

ご自分たちのライフスタイルに具体的なイメージを持っておられ、機能的でメリハリのある空間が導き出されます。

ご要望に叶う土地は、西区の高台にありました。
「私たちは生活しやすい家がいいなと思っていて、広い家は望んでいなかったので、40坪の土地でちょうどいいと思ったんです」と奥様。
そして、住宅会社の選定です。

▶加藤淳一級建築士事務所を選んだ理由

検討パース

数社のプラン提案を受けたうえで
「私たちの問いや希望を真摯に受け止めた上で、こだわりを持って提案をしてくれる姿勢を見て、加藤さんと栄次さん(施工:Ag-工務店代表)にお願いしたいと思いました。」とご主人。

・要望に合うだけでなく、ワクワクするような提案があり、コストも納得できた。
・期日内で提示されたプランのクオリティが高かった。


と選んだ理由を話してくださいました。
このことをご主人がnoteに記してくださっています。
一部引用すると

『まだこの世にない制作物を見せられた時、それが自分の生活の中に溶け込んでくるイメージをすんなりと作れるのならば、そのイメージは強く実現可能なのでしょう。』

「注文住宅」という「まだないもの」をお客様へ提案するものとして、最高の言葉をいただきました。
こうしてE様との家づくりが始まりました。

▶入居後(3か月のご感想)
「希望したことが全て叶って、家の全てが気に入っています。子どもたちもすごく楽しそうにしていますしね」(奥様)

「できるだけオープンな空間を希望しました」
というご主人の声の通り、一階はアイランドキッチンを中心にLDKとスタディーコーナーがスキップで緩やかにつながっています。

「私はキッチンに立っていることが多いですが、家族と一緒の空間に居られるのがいいですね」と奥様。

スタディーコーナーの一角は、ダイニングテーブルのベンチにもなります。
空間の有効活用と、共有のできるこだわりのスペース。

「家の中に、僕が仕事をしたり、子どもたちが勉強したりするオープンなスペースが欲しいと思っていました。オフィスで仕事をする時も周囲に人がいますから、家の中の仕事スペースも個室じゃなくていいと思ったんです。」
というご主人の考えから生まれた場所です。

「僕は毎朝4時には起きて、ここで過ごすんです。自分一人になれるのはこの時間しかないので(笑)。普段の仕事の内、考える仕事をこの時間に集中してやったりもします」
仕事と生活を断絶せず、つながりを持たせる働き方がこのスタディーコーナーを作り上げました。

11月に入居し、寒い中での新生活。
早朝を過ごすことが多いご主人は、以前と大きな違いを感じているようでした。

「アパートは冬寒くて結露もしていましたが、ここに住んでそういう悩みがなくなりました。1階と2階にエアコンが1台ずつ付いていますが、今日みたいに日が照っていれば消しても暖かいです。
基本的に戸をしめないので家じゅうが暖まりますし、朝早く起きても寒くないのがいいですね。」

アパートとの暮らしとは違いすぎて、思いもよらなかった悩みができたと笑っておられました。
「逆に、暖かくて、乾燥し過ぎることが悩みです。
加湿器を買おうか考えているうちに今年の冬は終わってしまいそうですが(笑) 脱衣所の物干しスペースに除湿器を置いているんですが、要らなかったかな…とも思います」

「希望したことが全て叶って、家の全てが気に入っています。子どもたちもすごく楽しそうにしていますしね」と奥様。

6年越しのマイホーム。
家や暮らしへの思いを、妥協せず伝えてくださったおかげで、E様家族の明るさとおおらかさをもった住まいの形が出来上がりました。

▶E様邸の設計ポイント

□敷地環境を最大限に引き出す

敷地環境を愉しむ 五十嵐の家04_b0349892_11343566.jpg

南面の雑木林。ルーフテラスから見える日本海と佐渡島。
リビングのテラスからはもちろん、スタディーコーナーからも広々とした風景がうつりこみます。

打合せ中に『屋根に出られたら面白いよね』という話が出て、屋上テラスをご提案。
「時々ここに上がって『スーっ』と外の空気を吸っています」とご主人がお話してくださいました。

周囲の家屋の屋根越しに日本海を眺め、行き交う船や佐渡島を眺められるのは高台にある住まいの特権。

その土地の魅力を最大限に引き出すのが、住宅設計者の使命であり醍醐味。
規格住宅ではできない家づくりです。

□つながる空間づくり
ただLDKとスタディーコーナーを1フロアにするのではなく、ステップを設けることでメリハリのある空間になりました。
シナ合板を張ることで、既製品のキッチンが浮かないようにするほか、フローリング材を用いてダイニングテーブルを誂えました。

キッチンの工夫 スタディコーナーのある家_b0349892_08194755.jpg
テーブルと室内が調和。キッチン、エアコンも風景に溶け込むようにひと工夫してあります。

冷蔵庫をパントリーの中に隠したり、エアコンの高さを窓のラインにそろえたり。
細部にも気を遣って設計することで、一体感を高めています。

□機能的な家事動線
キッチン周りには、階段下を活用した広々としたパントリー。そしてゴミ箱を玄関から引き出せる小さな扉。
ストレスなく生活を送るための工夫をこらしています。

キッチンの工夫 スタディコーナーのある家_b0349892_08203735.jpg
玄関につながる扉。便利さと遊び心が隠れています。

共働きのご夫婦が効率的に家事をこなせるよう、サニタリーにもひと工夫。
中干し・外干しもでき、アイロンまで完結する空間に。

ウッドデッキもあり、リビングのデッキにつながっています。
外からもつながりを感じる子どもは楽しく、大人は便利な動線です。

□フレキシブルな子ども部屋
3つ収納スペースを廊下に挟み、3つの引戸がついた9畳の子ども部屋。
「部屋に籠もるのではなく、寝るときにだけ使う場所にしたい」というご主人と
「私の実家は、私たち子どもが離れて部屋が余っている状態。
だから、子ども部屋は広くしないことで、将来的にフレキシブルに使えるようにしたいと思いました。そのあたりは、加藤さんにトコトン話を聞いてもらい設計をして頂きました」という奥様。

将来は壁で仕切って3部屋にできる、可変的な子ども部屋を設計しました。
多くを共有しながらも、子どもたちも尊重し、その先を見据えた住まいとなりました。

家づくり進行時のブログはこちら

■DATA
竣工年月 2019年11月
構造 金物工法
所在地 新潟市西区        
家族構成 共働きご夫婦+3兄弟
敷地面積 133.47㎡(40.29坪)
延床面積 98.51㎡(29.74坪)  1F: 50.89㎡ /2F: 47.62㎡
耐震等級 3
断熱性能 Heat20 G1グレード
施工 株式会社 Ag-工務店