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記事掲載 2017/09/05

特集:ゆとりあるLDKは、仲間たちが集うラウンジ


実家の敷地内で家づくりをスタート

新潟市西区の主要幹線道路「西大通り」。ここからほど近い高台の住宅地にTさん夫婦は新築を決めた。
土地はTさんの実家の敷地を分筆。元々108坪程あった土地のうち47坪を譲り受け、両親が暮らす実家の隣に家を建てることにしたという。
「売却がしやすいマンションの購入も考えていたのですが、将来的に両親の近くにいた方がいいと考え、実家の敷地内に家を建てることにしたんです」(Tさん)。
実は3人兄弟の3番目だというTさんだが、お兄さんが2人とも離れたところにいるので、新潟にいるTさんが自ずと実家を受け継ぐ形になったという。
施工を依頼したのは中央区関南町にある工務店、文京田中建設株式会社。実家の工事でお世話になっていたり、同社代表の田中俊朗さんがTさんのお兄さんの同級生であったりと、既に信頼関係ができあがっていたから、自然な流れで依頼が決まった。
ただ、設計と施工を一括でお願いするのではなく、設計は加藤淳一級建築士事務所に依頼し、施工を文京田中建設に依頼するという分離発注方式を取ることにした。この方法は、設計事務所と工務店がそれぞれの得意分野で実力を発揮しやすい合理的な方法と言える。
 

3方を建物が囲む難しい敷地条件

「母屋のすぐ目の前ということで、お互いのためにプライバシーはしっかり保てた方がいいと考えていました。間取りはもちろんですが、防音性も高めて欲しいと要望を出しましたね」(Tさん)。
正方形に近い敷地内の南側をTさんご夫婦が受け継いだが、北側に母屋、東側には隣家、南側にはアパートが迫り、光を採り込みやすい道路側が西側という難しい敷地条件だった。
 

完成したT邸の正面外観。左側に見える建物が母屋。

建築士の加藤さんは「難しい条件の方が燃えるんです(笑)」と、その課題解決を楽しむように設計にあたったという。
基本プランが固まるまでに4カ月ほどの時間を掛け、ゆっくりと納得のいくプランを作り込んでいったそう。
 

加藤淳一級建築士事務所の加藤淳さん

 

使いやすさを突き詰めた機能的な玄関

完成した住まいは、互いのプライバシーを尊重するために、アプローチから実家とは別に設けている。
 

T邸の西側には母屋とは別の入口が設けられている。

 
家の正面に行くと、余裕を持って自転車を置けるほどの深い庇があるポーチが迎えてくれる。自転車は新たな趣味として購入を考えているが、今はポーチには花やハーブのプランターが置かれている。「ここでバジルを育てていて、料理にもよく使っています」(奥様)。
 

 

玄関は程よい光が差し込む空間で、右手には傘掛けが一体にデザインされた便利な収納棚がある。正面の引き戸の先はリビングで、左はクロークだ。
 

 

お客さんから見えない場所にたっぷりと靴が置けるだけでなく、ご夫婦の趣味であるテニスやゴルフの道具も余裕で収まっている。Tさんが普段使うジャケットやネクタイもここに掛けていて、朝出勤する際にここで身支度を整えて家を出るという無駄のない動線になっている。しかもこのクロークは、ダイニングキッチン側からも出入りできるので、買い物帰りもスムーズなのだそう。
 

ダイニング側から見るクロークと玄関。
 

上品にまとめられた高天井のリビング

玄関ホールから繋がる南向きのリビングは、アパートをかわすようにレイアウトされている。西日を避けるために西側は開口部を設けずに、その壁一面にTVボードと収納を造作。すっきりと一体感のあるデザインになっている。
 

 

「加藤さんに用意して頂いたたくさんのカラーサンプルの中から吟味しました」(ご主人)というオークの床のカラーに合わせ、全体を落ち着いたダークトーンで統一。TVボードの後ろの壁にあしらった大判のタイルが上質な素材感を感じさせる。
さらに、リビング部分だけは天井高が約2.9mと高い。他の場所よりも50cm以上高くすることで、ダイナミックな空間の広がりが感じられる。「友達が遊びに来ると、ここでバレーボールの練習を始めたりもするんですよ(笑)」(奥様)。

 
 

一角にはDOMETIC社のスリムなワインセラーが置かれているが、ご主人は大のワイン好き。「前はビールばかり飲んでいましたが、尿酸値が気になるようになりワインを飲むようになりました(笑)。フランスやイタリアのワインが好きですが、特に重めのワインが好きなので、フランスならボルドーですね。ワインセラーに入りきらないので、床下収納にもたくさん保管しているんですよ」(ご主人)。
 

 

大人数でパーティーが楽しめるダイニングキッチン

リビングの隣は小上がりとダイニングキッチン。
 

 

小上がりは大きな引き戸で仕切れるので、友人が遊びに来た時に寝泊まりをするスペースとしても重宝しているそう。「あとは友人の子どもたちが喜びますね(笑)」(奥様)。丸窓の正面にはアパートが迫っているが、木塀と植栽で圧迫感を和らげ、落ち着いた和の空間に趣を加えている。
 

 

キッチンは北側に配置し、実家側の壁は一面収納にして窓を設けず、プライバシーに配慮したつくりにしている。キッチンは広い天板のセラミックトップキッチンを採用。マットな質感と色合いはインテリアにもよくなじみ、高級感を感じさせる。後ろの壁に張られたイタリア製のモザイクタイルが程よいアクセントになっている。
 

 
キッチンにはGAGGENAU社の食洗機がビルトインされている。

キッチンの前にはダイニングテーブル。ウォールナットの質感や色味が空間のトーンと調和している。「この家に住んでから友人を招く機会が増えましたね。この間も昼の3時から集まってみんなで料理をしながら飲んでいました」(ご主人)。「料理教室に通ってる友達に教えてもらいながら、女の子5人で肉まんを生地から作ったり。キッチンが広いので料理の時間が楽しくなりましたね」(奥様)。
 

 
 

高い防音性能に、使いやすさを突き詰めた水回り

ダイニング横には掃き出し窓があり、ここから実家と共有する細長い芝生の庭を眺められる設計だ。デッキも備えられており、実家との繋がりはこのデッキが担っている。
 

T邸と母屋に挟まれた芝生の庭。掃き出し窓を開けるとダイニングに繋がる。
 

また、Tさん夫婦が望んだ高い防音性を実現するために、間取りの工夫に加えて、断熱材には高い吸音性能を持つセルロースファイバーを採用した。実家のご両親には「家に居るか居ないかが全く分からない」と言われるくらい、音を感じさせない仕様になっている。
 
ダイニングの奥のドアを開けて進むと、LDKから離れた場所にトイレ・洗面脱衣室・浴室が配されている。洗面室と脱衣室は引き戸で仕切ることができ、3畳弱ある広い脱衣室はランドリースペースを兼ねている。
 

 
間接照明が仕込まれており、光に照らされたタイルがより豊かな表情を見せる。
 

たっぷりと洗濯物が干せる上に、クローゼットも備えているので、洗う・干す・収納する・着替えるという一連の流れがここで完結。さらに奥のドアを開くと風通しのいいデッキに出られるので、天気のいい日はここで物干しもできる。玄関と同様に、家事や生活がしやすい合理的な設計がここでも突き詰められている。
 

 

少し広めにつくられたトイレはモノトーンでシックにまとめられている。
 

ハンモックが吊るせる眺めのいいテラスも

2階は寝室と個室、納戸、そしてテラスが配されている。1階の高天井のリビングに合わせて2階の奥は床の高さが変わるが、それが空間に変化をもたらしている。
 

 
将来的に2部屋に仕切れる寝室。手前の部屋はセカンドリビングとして活用。

一番奥にあるテラスは、南西側の角にあり、ちょうど隣のアパートをかわすような場所だ。この家で最も眺めがいい場所でもある。
 

 
 

春や秋などの過ごしやすい時期は、ここに吊るしたハンモックに揺られてのんびり過ごせる。「今は真夏なのでなかなか日中は使いませんが、朝方ここで揺られてみたら気持ちよかったですね」(ご主人)。4畳ほどの空間は、読書をしたりお酒を飲んだりして過ごすのにも良さそうだ。
 
難しい敷地条件の中で、快適さや生活のしやすさを突き詰めて完成したT邸。耐震等級も最高等級の3をクリアするなど、高い耐震性能も備えている。
この家に住み始めて、一番変わったことは?と聞くと、
「やっぱり、友達を家に呼んで一緒に食事をしたりお酒を飲んだりする時間が増えたことですね」とご夫婦。家の居心地が良くなったことで、お酒もいっそう美味しく感じるようになったのだそう。
ゆったりとしたLDKは、家主だけでなくゲストもリラックスしてくつろげる空間だ。だからこそ、休日になればこの家には自然と人が集まり、笑い声があふれる豊かな時間が流れ始める。